春3月、黄龍王は使者を送り解明との面会を求めた。解明が行こうとすると、ある人が諫めて言った。
「いま隣国が故もなくただ会いたいと言ってきましたが、その真意がどこにあるのか測りかねます」
太子が言った。
「天に俺を殺すつもりがないなら、黄龍王は何もできないはずだ」
太子は黄龍国へ赴いた。
解明を殺そうと思っていた黄龍王だったが、実際に会うと危害を加える気がなくなり、篤くもてなして送り届けた。
28年(8年)春3月、王は使者に解明宛ての親書を届けさせて言った。
「私が遷都して、民を安らかにするために、国の基礎を固めたいと考えているときに、汝は私に従わず、剛力のみを頼りにして、隣国から恨みを買っている。剣を与えるから自決せよ」
太子はすぐに死のうとしたが、ある者が止めて諫めて言った。
「嫡男はすでに亡くなっておられ、太子様が正当なお世継ぎです。まだ使者が一度来ただけでございます。これが本当に大王の本心なのかはっきりしておりませぬ」
太子が言った。
「黄龍王が先に強弓を贈ってよこした。だから俺は黄龍国が我が国を見縊ることを恐れ、あえて弓を折って返事としたのだ。ところが意外にも、俺は父王に責められてしまった。いま父王は俺を不孝の息子とし、与えた剣で自決しろという。どうして父の命から逃れることができよう」