【第3代】大武神王(無恤)[3-8]

 話を聞いた鄒㪍素は、3人を官舎に招き入れ、ともに座って言った。
「人は過ちを犯すもの。それを悔い改めるなら、それに勝る善行はありません」
 鄒㪍素は3人の友人となった。仇都たちは恥を知り、以後3人が悪行に及ぶことはなかった。
 王はこの話を聞き
「鄒㪍素は爵位の威厳に頼らず、人の智慧で悪を懲らしめた。まことに有能な人物である」
と言って褒め、鄒㪍素に大室という姓を下賜した。
 夏4月、王子の好童が沃祖(咸鏡南道咸興市付近にあったツングース系種族の国)を訪れた。楽浪(平壌)王の崔理も沃祖に行き、好童に会って言った。
「あなたは非凡な顔相を持っておられます。もしかして北国の神王の子ではありませんか?」
 崔理は好童を連れ帰り、娘を嫁がせた。
 後に好童は帰国したが、密かに使者を派遣して崔理の娘に言った。
「もし国の武器庫に入って、太鼓と角笛を壊すことができれば、私はあなたを正式な妻として迎えよう。しかし、できなければ、それまでとする」
 楽浪には不思議な太鼓と角笛があった。敵が来るとひとりでに鳴り出して急を知らせた。そのため、好童は崔理の娘に太鼓と角笛を壊させようとした。
 崔理の娘は、よく切れる刀を持って武器庫に潜入し、太鼓の面と角笛の口を切り裂き、成功したことを好童に報告した。
 好童は王に楽浪を襲うよう進言した。太鼓と角笛が鳴らないので、崔理は軍備を疎かにした。我が兵が城下に潜入した後で、太鼓と角笛がともに壊されていることを知った。
 崔理は娘を殺し、城を出て降伏した。

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