あるところに、借金で首のまわらない男がいた。
ある日、高利貸しが借金の取り立てにやって来た。
高利貸しが怒鳴った。
「今日という今日は耳をそろえて返してもらうよ!」
男は平然と答えた。
「なんとも言えないね~」
高利貸しがまた怒鳴った。
「いや、今日こそ絶対払ってもらうからな。一両でもいいからはやく出しな!」
男はやはり平然と答えた。
「なんとも言えないね~」
高利貸しが脅すように言った。
「ごまかしてもムダだ。怖い連中を連れてきてもいいのか?」
男は眠そうな声で答えた。
「なんとも言えないね~」
貸主が胸ぐらをつかんで叫んだ。
「まったく言い訳ばかりして。さぁ、はやく出せ!」
男がつぶやいた。
「だから、なんとも言えないって言ってるじゃないか」
高利貸しは泣きそうな声になった。
「お願いだから、ちゃんと答えてくれよ~」
男がニヤリと笑った。
「じゃあ、言っちまってもいいんだな?」
「ああ、いいよ。言ってくれ」
「ホントにいいんだな?」
「いいって言ってるじゃないか」
男が叫んだ。
「か・え・さ・な・い」
究極の言い訳
