見栄っ張り男

あるところに見栄っ張りな男が住んでいた。
あるとき、男の家に泥棒が入った。
泥棒は家中かき回したが、金目の物を見つけることはできなかった。
泥棒が手ぶらで出て行こうとしたとき、男が声をかけた。
「泥棒様、ここに銅銭が何枚かありますから、これをお持ち帰りください」
不思議に思った泥棒が尋ねた。
「なんで、わざわざくれるんだい?」
男は布団から銅銭を握った手だけ出して言った。
「そのかわり、家に何もなかったことはご内密にお願いします。できれば山のようなお宝を盗み出したと言いふらしてください」

見栄っ張りにも程がある。

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