【第2代】瑠璃明王(類利)[2-1]

 瑠璃明王(在位:B.C.19~A.D.18年)が即位した。諱は類利もしくは孺留。朱蒙の長子で、母は礼氏。朱蒙が夫餘にいたときに結婚して懐妊したが、産まれたのは朱蒙が夫餘を出立した後だった。名を類利とした。
 幼い頃、道で雀を撃って遊んでいたところ、婦人が抱えていた水瓶を壊してしまった。婦人は類利を罵って言った。
「この子は父親がいないから、こんなに頑ななんだわ」
 恥ずかしく思った類利は、帰宅して母親に尋ねた。
「私の父は誰で、今どこにいるのですか」
 母は答えた。
「そなたの父は尋常ならざる方です。そのため、国に留まることが許されず、南の地で開国して王を称されておいでです。国を離れるとき、こうおっしゃられました。『男の子が産まれたら、我が息子に伝えておくれ。七稜石に立つ松の下にある物を残しておく。首尾よくそれを探し出すことができたら我が子である』」
 類利はこの話を聞き、野山を駆けずりまわって探したが見つけることができず、疲れ果てて家に戻った。
 ある朝、家にいると柱と礎石の間から音が聞えてきた。音がする場所を見ると、その礎石が七稜石であった。柱の下を探すと、折れた剣が出てきた。
 さっそく家来の屋智、句鄒、都祖とともに卒本へ行き、朱蒙王に剣を差し出した。
 王は自分が保管していた剣の一部と合わせた。すると、寸分違わずに合わさって1本の剣になった。
 王はおおいに喜び、類利を太子とし、王位を継がせることにした。

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