【第2代】瑠璃明王(類利)[2-5]

 秋9月、王は病に罹った。
 巫女が告げた。
「これは託利と斯卑の祟りでございます」
 王が巫女に謝らせると、病は癒えた。

 20年(A.D.1年)春正月、皇太子の都切が逝去した。

 21年(2年)春3月、お供え物の豚が逃げた。王は犠獣を管理している薛支に探し出すよう命じた。国内の尉那厳(中国吉林省集安市)まで追いかけてやっと見つけたが、すでにその豚は国内の者に飼われていた。帰国した薛支はこう報告した。
「私は豚を追って尉那厳まで行ってまいりました。そこは山水深険の地で、五穀の栽培に適しており、麋鹿(オオジカ)、鹿、魚、スッポンがたくさん捕れます。もし王がそこへ都を移せば、民の利が無窮になるばかりでなく、外患の憂いも取り除くことができるでしょう」

 秋9月、王は国内の尉那厳に行って地勢を確かめた。沙勿沢まで戻ると、立派な男が沢にある石の上に座っていた。
 男が王に言った。
「願わくば王の家臣にしていただきたく存じます」
 王は喜んで許し、沙勿という名と位という氏を与えた。

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