【第7代】次大王(遂成)[7-2]

秋7月、王は平儒原で田猟した。白い狐がついて来て鳴くので、弓で射ったが中らなかった。そこで巫師に尋ねた。
巫師が言った。
「狐は妖獣で、吉祥の証ではありません。とくに白は面妖極まりなきことを表しています。天は自らの考えをじっくり教え聞かすことができません。それを妖怪によって示されたということは、天は王を恐懼させて反省を促しているのです。王自らが改心することを、天は欲しているのでございます。王がこれから徳を修めれば、禍転じて福となすこと間違いございません」
王が言った。
「凶ならば凶となり、吉ならば吉となるもの。お前は『妖』としながら『福』とも言う。それこそ誣言ではないか」
王は巫師を殺してしまった。

4年(149年)夏5月、五星(火星、水星、木星、金星、土星)が東方に集まった。これは兵象(戦争勃発の前兆)だが、王の怒りを恐れた占卜者は、事実を曲げて告げて言った。
「これは王徳の表われであり、国の福を暗示しております」
王は喜んだ。
冬12月、氷が張らなかった。

8年(153年)夏6月、霜が降りた。
冬12月、雷が落ち、地震が起こった。

20年(165年)春3月、大祖大王が離宮で薨去した。119歳だった。
冬10月、椽那部の皀衣の明臨答夫は、民が王の暴政にこれ以上耐えることができないと判断し、王を弑逆した。
諡は次大王とされた。

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