眼病をわずらっている男がいた。
いろんな医者に診てもらったが、お金がかかるばかりで、いっこうに治る気配がなかった。
そんなとき、友人が言った。
「民間療法だが、自分の小便を塗ると治るらしいぞ」
半信半疑だったが、神にもすがる思いで試してみたら、あっという間に治ってしまった。
男は自分の男根に向かって言った。
「お礼をしなければいけないが、おまえさんは大きくなったり小さくなったり、伸びたり縮んだりするから、衣装を買ってやることもできない。なにがよいかのう」
それを見て、友人が言った。
「なにをぶつぶつ言ってるんだい?」
男が顔を上げて答えた。
「恩人にお礼をしようと思ってね」
「身内なんだから、しなくていいんじゃないの?」
「いやいや、身内だからこそするんだよ」
友人がポンと手を叩いて言った。
「いいことを思いついたよ」
「いいことって?」
「遊郭に行って遊ばせてやったらどうだい? きっと喜ぶと思うよ」
男が首を左右に振って言った。
「それじゃあ、恩を仇で返すことになっちゃうじゃないか」
友人が尋ねた。
「どうして? 意味がよく分かんないね」
男が言った。
「病気を治してもらったのに、病気を染してどうするんだよ」
性病は怖い。