あるとき、子虎がねぐらに帰ってきて母虎に言った。
「今日、都まで遠出して人を喰ったのですが、いままでにない変な味がしました」
母虎が尋ねた。
「どんな味がしたんだい?」
子虎が眉間に皺を寄せて答えた。
「ヘソから上がすっぱくて下が臭いのです。もう二度と食べたくない味です」
母虎が諭すように言った。
「わかったわ。それは高級官僚ね。それも金とコネで職を得た。金まみれだから銅銭を舐めたようなすっぱい味がするのよ。それに、汚職まみれで心が腐っているから体が半分臭いのよ」
子虎が困ったような顔をして言った。
「それでは、都の人間はみんな食べられませんね。みんなよく肥えていてうまそうなのに」
すっぱくて臭い人
