こうして、パクチョンガは龍宮で夢のような日々を過ごしたあと、龍女の嫁といっしょに自分の家へ帰りました。
パクチョンガは、小さな行李になにが入っているのか知りたくなりました。
しばらくは我慢して居間の棚に置いたままにしていましたが、行李の中身が気になって気になってしかたがありません。
「おまえや、龍王様は片方なら開けてもよいと言っていたよな」
「そうでございますね。ひとつなら大丈夫だと思います」
「よし。思い切って片方の行李を開けてみよう」
パクチョンガはふたつの行李を何度も何度も見比べ、向かって左側の行李を開けてみることにしました。
ゆっくり蓋を開けると、すき間から小人があふれ出てきました。パクチョンガは驚きのあまり腰を抜かしてしまいました。小人は次から次に現れ、最後のひとりが出てきたあと数えてみると、ぴったり千人になっていました。
小人たちは、みな鋤や鍬を持っていました。夜が明けると行李から出て日が傾くまで野良仕事に励み、夜になると行李に戻って休むのでした。猫の額ほどしかなかったパクチョンガの畑は、小人たちが開墾してくれるおかげでどんどん広がり、一年後には村一番の長者になっていました。
そうこうするうち、パクチョンガはもうひとつの行李が気になりはじめました。開けてはいけないという嫁の声を毎日のように聞いていましたが、好奇心をおさえることがなかなかできないのでした。
ふたつの行李[8]
