ネズミの生まれ

ネズミ年に生まれた官僚の誕生会があった。
部下の役人たちはなけなしの金を出し合って、純金で作られたネズミの置き物を贈った。上役のキャリアにへそを曲げられると、仕事と収入が途絶えて生活していけないからだ。宴がたけなわになったころ、官僚が自分の妻を隣に呼んで話しはじめた。
「みなのもの、ちょっと聞いてくれ。今日はワシのために集ってくれて大儀じゃ。また、こんなネズミまでもらって、いままでで最良の誕生日となった」
一同が拍手すると、官僚は話を続けた。
「なぁ、おまえたち、知っとるかのう。来月の今日は、ここに並んでおる女房の誕生日じゃ。妻はウシ年じゃから、よろしくな!」

官僚の欲には限りというものがないらしい。

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