ある日、男が家の近くにある公衆便所に行った。
用を足そうとしたとき、隣の男が声をかけてきた。
「一文銭を差し上げますから、あなたが持っているちり紙を売ってください」
男は多めにちり紙を持っていたので、快く売ってあげた。
次の日、男はちり紙をかかえて客を待ったが、売ってほしいと言う人はいなかった。
その次の日も、男はちり紙をかかえて客を待ったが、売ってほしいと言う人はいなかった。
そのまた次の日も、男はちり紙をかかえて客を待ったが、売ってほしいと言う人はいなかった。
用を足す場所が金儲けの場所になるはずがない。まさに『株を守って兎を待つ』(守株待兎)である。