偽造書類の値段

ある男が日頃から接待付けにしている役人の家を訪れた。

本人は留守で、妻が対応に出てきた。
「わざわざお越しいただいたのにスミマセン。それでご用件は?」
「いや、また出直してきます」
「二度手間ですから、おっしゃってください。あなたも公文書が欲しいんでしょ。私は主人の祐筆もしておりますから、どんな書類でも書けますよ」
「そうですか。実はニセの結婚証明書が必要になりまして…」
「それなら小判五枚になります」
「ちょ、ちょっと待ってください。それは高くないですか? あなたの旦那様にはこれまでいろんなモノを届けているんですよ」
「それは主人にでしょ? 私は何もいただいておりません!」

役人の家は妻も強欲である。

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