あるところに、研究熱心な医者がいた。
まだ経験が浅いので、優れた処方を聞いては帳面に記録していた。
ある日、往診の帰りに盗賊の一団に出くわしたので、茂みの中に隠れた。
茂みから覗くと、大男が身ぐるみ剥がされているところだった。
腰の部分に目をやると、この世のものとは思えないほど大きなふぐりがぶら下がっていた。
しばらくして、大男は立ったまま首を斬り落とされてしまった。
すると、大きなふぐりがみるみる萎えて小さくなった。
それを見た医者は良い治療法を思いつき、急いで帳面に書き留めた。
「発熱等でふぐりが腫れたとき、血をたくさん出せば元通りになる」
医者というのは“真面目なら良い”というものではない。