北京市の周口店龍骨山で発見された人類の化石歯は、原人の骨とされシナントロプス・ペキネンシス(Sinanthropus pekinensis)と命名されたが、現在はホモ・エレクトス・ペキネンシス(Homo erectus pekinensis)と呼ばれている。
ホモ・エレクトスの亜種で、1923年にスウェーデンの地質学者であるヨハン・G・アンダーソンによって発見された。1929年には裴文中が完全な頭蓋骨の化石を発掘した。この人骨化石を北京原人と呼んでいる。20万~50万年前のものと考えられているが、正確な時代は諸説紛々としておりはっきりしない。
人骨化石のDNA調査によって、北京原人は我々新人の祖先でないことが判明している。なんらかの原因で絶滅したらしい。
火を使った跡があったことから、北京原人は火を使って暖をとったり食物を焼いたと考えていたが、現在は何らかの火災に遭った跡だとする説が有力だ。
北京原人の粉砕された人骨粉が見つかっていることから、食人の習慣を持っていたとする説もあるが、支持する専門家は少ない。
貴重な北京原人の化石は、戦火を避けるためにアメリカへ運ばれることになったが、途中で紛失し、現在まで見つかっていない。ただ幸いなことに、協和医学院の客員解剖学教授であったワイデンライヒが詳細な記録を残していて、現在はこの資料もとに北京原人の研究が行われている。
1997年には『北京原人 Who are you?』という日本映画が製作され、現在でも鑑賞することができる。また、『北京原人の逆襲』という古い洋画もある。
北京原人
