占いの真実

よく当たると評判の占い師のところへ男がやってきた。
「いらっしゃいませ。あなたは北から来ましたね」
「ど、どうしてわかるんですか?」
占い師がニコニコして言った。
「今日は雨で、北からの風が強く吹いています。あなたの外套は背中だけが濡れています。ということは、北から南に向かってまっすぐ歩いてきたということです」
男が感心して言った。
「なるほど、なるほど。それで分かったんですね」
占い師が言った。
「あなたの姓は司馬ですね」
男が目をパチクリさせて言った。
「確かにそうですが、これまた、どうしてわかったんですか?」
占い師がニコニコして言った。
「あなたの召使いが持っているチョウチンに地名が書かれています。身なりからしても、あなたは良家の出。その土地の名家といえば司馬家しかありません」
男が感心して言った。
「なるほど、なるほど。それで分かったんですね」
占い師が言った。
「あなたは奥方に頼まれてここへ来ましたね」
男が目をパチクリさせて言った。
「確かにそうですが、これまた、これまた、どうしてわかったんですか?」
占い師がニコニコして言った。
「こんな天気の悪い日に、良家のご主人がわざわざ訪ねてくる理由としては、それ以外考えられません」
「占い師にしておくのはもったいない。私の参謀になってください!」
「勘違いしないでください。実はすべて秘伝の指南書に載ってるんです。ご所望なら、特別価格の百両でお譲りしますよ」
「ぜひ分けてください!」

また阿呆がひとり騙された。

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