受験と出産の難易度

科挙試験に失敗ばかりしている夫がいた。
ある日の夫婦の会話。
「旦那様、お受験というのはまことに大変なものでございますね。三十年勉強してもまだやることがあるんですもの」
「心配するでない。いまオマエのお腹にいる子が出てくるまでには絶対合格してみせるさ」
「今度でもう五度目の出産です。ゆっくり準備してくださいませ。気長にお待ち申しております」
「なにを言っておる。今年こそ合格するさ。そうでないと息子に先を越されてしまうからな」
「ご幸運をお祈りしております」
「しかし、オマエのお産も大変だよな。枕のようなものを腹から出すんだから」
「いいえ、お受験とは比べものになりません」
「なぜじゃ?」
「お産は有るものを出すだけです。無いところからムリヤリひねり出すわけではありませんから」
この女房、夫のオツムの具合を熟知しているようだ。

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