図書館は問題だらけ

最近、ネットで“各地の図書館が閉鎖に追い込まれている”というニュースをよく見かけます。人口減で利用者が減少し、地方自治体の予算が削減されたため、図書館の運営が維持できないというのです。しかし、この記事には大きな誤りがあります。図書館は増えているのです。1992年の図書館数は2038ですが、2023年には3035です(日本図書館協会のデータ)。まぁ、これからは減ってゆくのでしょうが‥‥『図書館問題』は数十年前から議論されています。その主題テーマは“著作権者の権利と公共利益のバランス”です。たとえばヨーロッパでは、図書館が1冊の本を多数の市民に貸し出す代償として、それ相応の金額を権利者に支払っています。

日本でよくある批判は以下のようなものです。図書館は村上春樹の新刊を10冊仕入れたが、人気のために1ヵ月先まで予約で埋まっている。実にけしからん! 図書館は出版社を潰そうとしているのか!その一方で、小規模出版社にとって、高額の専門書を買ってくれる図書館はお得意様なのです。著作権者側は図書館がベストセラー本を大量購入して貸し出すのは無料貸本屋に等しいと批判する。一方、図書館側は納税者の要望に応えるのは公立図書館の責務であると反論する。

こんな議論が五十年以上続いているのですが、テクノロジーの進化が過去の議論を無意味なものにしつつあるのが現状です。グーグルの検索エンジンは、日々世界中のデータを収集し蓄積しています。現在、世界中の公共図書館や大学図書館などの書物は、どんどんデジタル化されてクラウドに蓄積されてデータベース化されています。先日、米国ニューヨークの連邦高裁がグーグルの書籍電子化を合法と認定しました。この訴訟は、出版界注目の訴訟で、米作家協会(AG)と複数の書籍の著者がグーグルの書籍スキャンを著作権の侵害であると訴えていましたが、連邦高裁は原告の請求を棄却しました。グーグルの行為は著作権法に違反せず公共サービスに当たるものと認定したのです。グーグルによる世界に存在する全書籍のデータベース化がさらに加速することは、火を見るよりも明らかです。

 日本は世界に比べて三周遅れくらいの状態ですが、それでも国会図書館では著作権が切れた資料から文献のデータ化を進めています(詳細はコチラ)。出版社や新聞社でも、電子書籍化が推し進められています。AIが日々進化している現在では、“分からないことを調べる”目的としては図書館はすでに不要です。絵本や小説を読みたいなら、地方自治体と出版社が契約を結び、購読回数に応じて使用料を支払えばよいのではないでしょうか?

ボク個人は、“図書館はすでに無用の産物になっている”と思っています。仕事柄『大漢和辞典』をよく利用していますが、紙の時代には15冊セットで20万円くらいしていましたが、現在では1万7600円で買うことができ、検索に費やす時間は10分の1以下になりました。自治体の関係部署には“図書のデジタルサービス化”おすすめします。本を借りに図書館へ行くなんて、時代遅れだと思います。

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