ある男が役人の家に奉公しようとした。
「オイラは船の横に竿をさした(不正を働いた)ことは一度もありません。後ずさりする(消極的になる)のも大嫌いです。それに飯をあまり食べません(倹約家である)」
その言葉を信じた主人は男を下男として雇った。
しかし、主人が運河に貯まった泥を浚うよう命じると、こう言って反論した。
「横に竿をさすようなことはできません」
主人が田植えをするよう命じると、こう言って反論した。
「後ずさりするのは嫌いです」
ある日、男が飯を一心不乱にかきこんでいるところを見た主人が皮肉たっぷりに言った。
「おまえは飯をあまり食べないのではなかったか?」
男はニヤリとして答えた。
「食べていません。飲み込んでいるだけです」
こういう男には何を言っても無駄である。