強欲な役人が任地から帰郷すると、家のなかに見知らぬ老人が座っていた。
不審に思った役人が問い正した。
「おい、ジジイ。いったいオマエは誰なんだ。なんでオレの家にいるんだ!」
老人が静かに答えた。
「ワシはおぬしが派遣されている県の守り神じゃ」
役人は舌打ちをした。
「なにをバカなことを言ってるんだ。鎮守の神様なら守護している土地から離れたりするはずがないじゃないか。ウソをつくな、ウソを!」
老人はゆっくりと首を振って言った。
「おぬしが地の皮を剥ぐようにして土地の物すべてを奪ってしまったから、ついてくるしかなかったんじゃ。これからは貧乏神としてたたってやるぞ。ヒッ、ヒッ、ヒッ」
強欲な役人と貧乏神。よい勝負になるかもしれない。