【碑文】
惟昔始祖鄒牟王之創基也。出自北夫餘、天帝之子、母河伯女郎。剖卵、降世、生子。有聖□□□。
【訳文】
(高句麗は)むかし初代の鄒牟王が基を創った。(鄒牟王は)北夫餘の出で、天帝の子であり、母は河神の娘である。卵を割って現世に降りて誕生した。聖なる…があった。
【解説】
始祖王の誕生譚。『三国史記』高句麗本紀によると、高句麗の始祖である東明聖王は名を朱蒙(もしくは鄒牟、もしくは衆解)といい、在位は紀元前37~19年。
北夫餘は中国吉林省にあったツングース系の国。紀元前200年頃にはすでに存在していたらしいが、494年に滅亡した。始祖王が卵から生まれる卵生神話は南方アジア系の神話で、現在確認できる最北端のものが高句麗の始祖誕生伝説。
【字解】
『有聖』に続く文字は行人偏だけが確認できる。おそらく“德”だろう。その次の2字には“威武”など始祖王を賛美する名詞が入ると思う。