借金の返済をせまられた男が、石塔の頂部に逃げた。
驚いた貸主が下から声をかけた。
「おい、へんなマネはよせ。いいから、はやく下りてこい!」
男が下に向かって叫んだ。
「いやだよ。オレには下りても返すあてなんかないんだ」
男が飛び降りることを心配した貸主が叫んだ。
「下りたら証文は破り捨てるから。な、だから下りてこい!」
男が片手を離してブラブラさせながら叫んだ。
「それだけじゃ嫌だ! オレの友達にも金を融通してやってくれ!」
貸主はだんだん腹が立ってきて、男の命などどうでもよくなった。
「おまえの借金をチャラにしたうえに、さらに金を貸すなんて。そんなことできるわけないだろう!」
男は大きく手を振りながら叫んだ。
「心配するな。大船に乗った気で貸してやってくれ!」
不思議に思った貸主が尋ねた。
「なんだ、そいつにはいい担保でもあるのかい?」
男が自信満々で答えた。
「あるよ、最高の担保が。このオレ様が保証人になってやる。だから安心して貸してやってくれ!」
最高の担保
