ある日、大工をしている男が禅寺へ参拝に行った。
出てきた僧侶は、大工のみすぼらしい身なりを見て、無視するような態度をとった。
そこへ役人がやってきた。
役人を見た僧侶は、ペコペコ頭を下げ、小僧にお茶の用意をさせた。
怒った男が抗議すると、僧侶が念仏を唱えるように言った。
「最高のもてなしは、もてなさぬこと。もてなさぬことは、最高のおもてなし」
その言葉を聞いた男は、持っていた木槌で僧侶の頭をポカポカ叩いて言った。
「叩くのは、叩かぬこと。叩かぬことは、叩くこと」
庶民に高尚な屁理屈など通じるわけがない。