老夫婦の仙人修行

あるところに、老夫婦が仲良く住んでいた。
ふたりは妻の還暦が過ぎたら仙人の修行を始めようと話をしていた。
そして、妻が六十歳の誕生日を迎えた日、ふたりは仙人が住む山へ向かった。
山のふもとに着いて夫が言った。
「まず、ワシが様子を見てくるから、おまえはここで待ってなさい」
頂上へ辿り着くと、千年も万年も生きている仙人たちがお茶を飲んでくつろいでいた。
そのなかのひとりが夫を見て言った。
「おい、そこの青年、いったい何をしに来たんだい?」
夫は何も答えずに山を下りた。
そして、妻に言った。
「修行は中止だ。あそこへ行ったら、おまえは小娘扱い。手籠めにされるのがオチだ」

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