猫背の男が仲介人に頼んだ。
「オレにぴったりの嫁を探してくれよ」
猫背の女が仲介人に頼んだ。
「私にお似合いの夫を紹介してください」
仲介人はこの二人を結婚させることにした。
新郎新婦は式場ではじめて顔を合わせた。
互いの姿を見たふたりが同時に文句を言った。
「こんな猫背の人とはいっしょになれません!」
仲介人は二人を背中合わせにし、その間に木刀を立てて言った。
「ほら、水という字になった。だから、水に流して結婚しましょうよ。ねっ、ねっ。お客さんも大勢集まっていることだし」
仲介人は『貧乏人を口で金持ちにする』といわれるが、あながち嘘でもなさそうである。