ある晩、泥棒が盗みに入ったが、あまりに貧乏で盗む物がなかった。
腹を立てた泥棒は床に唾を吐き、戸を開けたまま帰ろうとした。
それを寝たまま眺めていた家主が言った。
「おい、ぬすっと。ちゃんと戸は閉めてってくれ!」
泥棒が振り返って言った。
「ハッハッハッ、盗まれるモンなんかないんだから、閉める必要なんてないだろ」
家主が寝床で面倒くさそうに言った。
「カゼでもひいたら困るじゃないか」
泥棒が怒鳴った。
「そんな怠け者だから金が貯まらないんだ!」
家主が言い返した。
「おまえみたいなのがいっぱいいるから、金を貯めたりしないんだよ!」
貧困家屋の戸口
