集安麻線高句麗碑文を読む[上]

 2012年7月29日、高句麗時代の貴重な石碑が、吉林省集安市を流れる麻線河の河床で発見され、現在は集安博物館で現物を自由に見学することができる。高句麗時代の石碑としては、『好太王碑(広開土王碑)』、『中原高句麗碑』に次ぐものとなる。
 石板の高さは173センチ、幅は60.6~66.5センチ、厚みは12.5~21センチ。重さは464.5キロ。石面は四面とも磨かれており凹凸は少ない。
 碑文は高句麗式の隷書体で書かれており、表面は10行で、1行は22文字。ただし、6行目の先頭の文字は大ぶりで、2文字で3字分のスペースを占めている。また、最終行の最後尾には2文字分の空きがある。つまり、217字が彫られている。
 2013年1月4日、『中国文物報』誌上に解読の済んだ140の文字が公表された。その後、集安博物館がさらなる解読を行い、判明した文字数が156に増えた。
 また、裏面にも文字が刻まれているが、碑面の摩耗が激しく破壊されている部分もあるため、『□□国烟□守墓烟户合廿家石工四烟户头六人』と『国六人』の20字しか読み取ることができない。好太王碑文の内容から想像すると、墓守の氏名、出身地、戸数などが記されていたとおもわれる。
 碑表の文字は以下のとおり。ただし、これは集安博物館の見解で、釈文には異論が少なくない。

□□□□世必授天道自承元王始祖鄒牟王之創基也
□□□子河伯之孫神霊祐護假蔭開国辟土継胤相承
□□□□□□烟戸以□河流四時祭祀然□□悠長烟
□□□□烟戸□□□□富庶□転売□□守墓者以銘
□□□□□□□𦊆□太王□□□□王神□□輿東西
□□□□□□追述先聖功勲弥高悠烈継古人之慷慨
□□□□□□□□自戊□定律教言発令並修復各於
□□□□立碑銘其烟戸頭廿人名宣示後世自今以後
守護之民不得擅売更相転売雖富足之者亦不得其買
売向若違令者後世□嗣□□看其碑文与其罪過

タイトルとURLをコピーしました