生きる LIVING

監督:オリヴァー・ハーマナス(英語版)
脚本:カズオ・イシグロ
原作:黒澤明、橋本忍、小国英雄『生きる』
製作:スティーヴン・ウーリー、エリザベス・カールセン
音楽:エミリー・レヴィネイズ=ファルーシュ
撮影:ジェイミー・D・ラムジー
編集:クリス・ワイアット
配給:ライオンズゲートUK(英国)、ソニー・ピクチャーズ クラシックス(米国)、東宝(日本)
製作国:英国
公開日:2022年1月21日(米国)、2022年11月4日(英国)、 2023年3月31日
上映時間:102分
興行収入:$6,685,590
出演:ビル・ナイ、エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク

《ストーリー》

1953年のロンドン。課長であるロドニー・ウィリアムズは融通の利かない堅物で通っていた。汚水まみれの小さな資材置き場を子供たちの遊び場に変えて欲しいという陳情にも無視を決め込む。

ある日、ロドニーは医者から末期ガンを宣告される。余命は半年プラスアルファ。ロドニーは初めて役所を無断欠勤し、海辺のリゾート地に行って遊んでみたが、面白みを感じずロンドンに戻り、家族には出勤するふりをして街をあてどもなく歩く。

3週間無断欠勤を続けたロドニーは、元部下のマーガレットをデートに誘い、サボタージュに反対のマーガレットに末期ガンだと打ち明け、明るく前向きな彼女のように一日でも生きたいと話す。翌朝、役所に復帰したロドニーは、土砂降りの中、陳情されていた遊び場の現場に意気込んで向かうが……。

ロドニーの葬儀には大勢の関係者が集い、皆で故人を惜しんだ。陳情した婦人たちは、ロドニーが一人で遊ぶ場を造ったと讃えた。生前、ロドニーは他の部署に苦労して話を通し、渋る役人たちやお偉方を説得して遊び場を完成させた。

その夜、部下のピーターが、故人を偲んで遊び場に行く。職務質問して来た巡査は彼がロドニーの部下だと知ると、ロドニーが亡くなった晩の話を始めた。雪が津々と降る中で、ロドニーは遊び場のブランコを漕ぎながら歌っていた。その幸せそうな姿に声を掛けることができなかった、と。ピーターは巡査に、ロドニーは凍死ではなく末期ガンだったことを告げ、ブランコに座っていたロドニーは自身の幸せを満喫していたのだと言う。

『生きる LIVING』(原題:Living)は、2022年に公開されたイギリス映画です。1952年に公開された黒澤明監督の日本映画『生きる』のリメイク作品になります。ノーベル文学賞作家にして日本人のカズオ・イシグロが脚本を担当したことで話題となりました。現代ではなく1953年のロンドンを舞台に設定したのは、原作と同時代のイギリスを描きたかったからだろうと思います。
本作は、基本的に原作に忠実に制作されています。日本人の中高年者だったら、頭の中で両作品を比較しながら鑑賞すると思うのですが、原作の知識が皆無でも十二分に楽しめる内容になっています。
ボクはこの映画を観て、『日の名残り』(The Remains of the Day)を思い出しました。この映画はイシグロの小説をアンソニー・ホプキンスの主演で描いた作品で、テイストがとても似ていると感じました。これはあくまで個人的な感想ですが、本作は伝統的なイギリス映画の王道を行っている作品だと思っています。もっといろいろなイギリス映画を観たいのですが、そうするとAmazon Prime VideoかNetflixでの視聴となるので、セリフの理解度に問題が出てきます。劇場公開されなくてもいいので、日本語字幕版を提供してほしいものです。

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