小林薫が『めしや』という深夜(0時頃~7時頃)だけ営業する小さな食堂の主人公を演じる人情ドラマシリーズです。
初回放送が2009年10月に放映されてから断続的に制作され、現在までに50話が放映されています。第1部から第3部までがTBSで、第4部と第5部はNetflixで世界中に配信されました。今後も続編が制作される予定です。1話完結型の30分ドラマで、各タイトルにはキーになる日本料理の名前が使われています。
『めしや』のメニューは豚汁と酒類だけ。あとは作れる料理を適宜出すというスタイル。主人公の『マスター』には私生活にさまざまな謎がありますが、ドラマではほとんど明かされていません。食堂を訪れるさまざまな職種(おかまバーのマスター、ストリッパー、ヤクザ、フリーター等々)の人たちが、マスターを交えた悲喜こもごもの会話を交わして、自分の人生と日々の生活について改めて考える、というのがドラマの基本スタイルです。小林薫とオダギリジョー以外は、小劇場系の無名俳優が出てくるのですが、この人たちが非常に個性的な演技をしていて、ドラマに独特の雰囲気を醸し出しています。
ボクは、マスターと常連客との何気ない会話が大好きで、深夜に一杯やりながら観ています。人それぞれ事情があって、他人から見たら大したことがないことでも、本人にとっては生きるか死ぬかの一大事ってこと、ありますよね。そんな義理と人情が絡んだネタを、うまく演出してちょっとした感動作に仕上げているところがスゴイなぁと感心しています。
もっと驚くのは、アジアの反応です。日本でも中高年しか共感できないようなコンテンツだと思うのですが、中国と韓国ではリメイク版がテレビ放映され、台湾と香港では翻訳版が流されました。日本と他の東アジアの国って、伝統的な考え方に深い溝があると考えていたんですが、そうでもないんですね。Netflixがこの作品に力を入れている理由も分かるような気がします。