学生の本分

とある地方の大学に遊んでばかりいてまったく勉強しない学生がいた。
先生の注意に対しても馬耳東風だったため、とうとう学長室に呼ばれた。
以前から報告を受けていた学長は顔を真っ赤にして怒った。
「オマエは、どうしてさぼってばかりいるんだ! 孔子様に申し訳ないと思わないのか。最高学府に在籍しているだけじゃ、科挙には合格できないんだぞ!」
しかし、親の権力を使って裏口入学していた学生はふてくされるばかり。
「申し訳あ・り・ま・せ~ん」
怒り心頭の学長は両手で机をバンバン叩いた。
「反省して態度を改めないなら退学処分にするぞ!」
学生は学長の目を見てニヤリと笑った。
「ウチの親から寄付金をいっぱいもらってますよね~。それがなくなっちゃうと、学校の運営に支障をきたすんじゃないですか~?」
学長もニヤリと笑った。
「オマエの親に『どんな手を使ってもかまいませんから息子に学問を授けてください』って言われてるんだよね~」
学長が声を張り上げた。
「罰として文章の暗記を命じる! 覚え終わるまで自習室から出ることを禁じる!」
その言葉を聞いて、学生の顔が青くなった。
「先生、先生。後生ですから、勉強だけは勘弁してください。鞭打ちも受けます。奉仕労働もします」

こんな学生でも大学を卒業して地方の小役人くらいにはなれるのだ。それは、いつ、どこの世でも変わらないものである。

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