神仏の人数

若い役人と年老いた僧侶が安宿で同部屋になった。
役人は僧侶を馬鹿にして、部屋の真ん中で大の字になって寝転んだ。
狭い部屋だったので、僧侶は部屋の隅で膝を抱えて座るしかなかった。
しばらくして、僧侶が役人に声をかけた。
「お役人様、お役人様」
役人は片目を開けて、面倒くさそうに返事をした。
「なんだよ、いったい」
僧侶が猫なで声で尋ねた。
「つかぬことをお伺いしますが、神仏はひとりでしょうか、それともふたりでしょうか?」
役人は憮然として言った。
「ひとりに決まってるじゃないか。シンが姓で、ブツが名だ」
威張っている男が正規の官僚でないと気づいた僧侶は、役人を思い切り蹴り上げて自分が大の字に寝転がった。

どっちもどっちである。

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