借金している男が街に出た。
高利貸しに見つからないよう、竹で編んだカゴをかぶって歩いた。
しかし、その異様な風体が逆に目立ってしまい、高利貸しの目にとまってしまった。
走り寄ってきた高利貸しが言った。
「おまえさん、いったいいつになったら金を返してくれるんだい?」
男はおびえた声で答えた。
「いつかな、いつか」
高利貸しが怒って言った。
「いつかじゃ困るんだよ、いつかじゃ」
そのとき、大粒のヒョウが降ってきて竹カゴにぶつかった。
男は高利貸しが竹カゴをコブシで叩いていると思い込み、声を震わせて答えた。
「すぐに耳をそろえてお返しします」
竹カゴの借金男
