ある医者が薬の投与を間違えて乳児を殺してしまった。
立派な葬式を出すことを条件に許してもらい、その子を袖にしまって帰った。
子供の父親は医者のことがどうしても信用できず、後をつけることにした。
帰宅途中、医者は橋の真ん中で立ち止まり、あたりを見まわしたあとで、左の袖から子供を取り出して川に投げ捨てた。
その一部始終を見ていた父親が急いで駆け寄って言った。
「どうして、うちの子を捨てたりしたんだ。約束が違うじゃないか!」
医者が慌てて言った。
「勘違いだ。勘違い。本当に勘違いなんだよ」
父親が怒鳴った。
「どこが勘違いだ! オレは全部見てたんだぞ!」
「ほら、おまえんとこの子は、こっちにある」
そう言って右の袖から乳児の遺体を取り出した。
医者の子捨て
