数々の武功をあげた将軍が、自分の小姓に嫁をあてがった。
ある日、嫁の姉が来訪し、奥の間で世間話をしていた。
そのとき、見知らぬ男が目の前を悠然と通り過ぎていった。
驚いた姉が妹に尋ねた。
「こんな奥まで平気な顔して入って来るあの人は、いったい誰なんだい?」
嫁が平然と答えた。
「夫の元旦那様ですよ」
姉が心配そうに言った。
「それで、あっちのほうは大丈夫なの?」
嫁が真顔で答えた。
「はじめのうちは、それはそれは大変でした」
姉がさらに尋ねた。
「大変ってどういうこと?」
嫁が恥ずかしそうに答えた。
「初夜のときに、あの人、わたしのお尻に乗っかろうとしたんです」
姉が身を乗り出した。
「そ、それでどうなったの?」
嫁が笑いながら答えた。
「わたしが教わった場所はそこではありませんって言いました」
姉がさらに突っ込んできた。
「それで、どうなったの? けっきょく何をしたの?」
嫁がクスクス笑って答えた。
「将軍様に聞いてくるって言って、寝室から出て行きました」
姉が大笑いして言った。
「あらまぁ~、それなら、あなたは『逆さ亀』なのね」
昔の中国では、妻を寝取られた夫のことを『亀』と言ってバカにしたそうだ。