父親が息子に言った。
「客人が来るから街へ行って肥肉を買ってきなさい」
息子が返事した。
「分かったよ、オヤジ」
息子は城内にある馴染みの肉屋で皮付きの豚バラ肉を買った。
大通りを城門に向かって歩いていると、武官が真正面を歩いて来た。
二人は互いに譲らず、立ち往生になった。
「お前が道を譲れ!」
「お前こそ道を譲れ!」
強情な二人はいつまでたっても道を譲ろうとしなかった。
しばらくして、父親がやってきた。
「客人が待っているのに何をしてるんだ!」
観衆は父親が息子を説得するものだと思った。
しかし、事情を聞いた父親は息子にこう言った。
「お前は肉を持ち帰って客人の相手をしなさい。私がオマエの替わりに立っていよう」
強情な親子
