日本の旧石器時代は『無土器時代』『先土器時代』などと呼ばれている。韓国では新石器時代と合わせて『先史時代』という。
朝鮮半島の前期旧石器時代を代表する遺跡は、『黒隅里洞窟』と『全谷里遺跡』。北朝鮮平安南道祥原にある『黒隅里洞窟』では、29種類の動物化石とともに『敲打器』(石塊を打ち欠いて剥片や石刃などを取ったあとの石核を用いた石器)が出土している。韓国京畿道漣川にある『全谷里遺跡』では、アジアではじめてとなる『アシュール型ハンド・アックス(握斧)』(握って使用する打製石器)が発見された。
中期旧石器時代だとはっきりわかる遺跡は、朝鮮半島ではまだ発見されていない。
後期旧石器時代の遺跡は50近くあり、韓国江原道楊口の『上舞龍里遺跡』、韓国忠清南道公州の『石壮里遺跡』、韓国忠清北道丹陽の『垂楊介遺跡』などがよく知られている。
前期から中期の東アジアは、使用石器の種類でふたつの文化圏に分けることができる。華北より南のエリアが『礫石器文化圏』、華北より北のエリアが『剥片石器文化圏』。朝鮮半島は剥片石器文化圏に属する。
礫石器は原石を加工せずにそのまま使用した石器で、使用痕があるかどうかが自然石との差になる。剥片石器は原石を打ち砕いてできた破片から製作したものだ。北京原人で有名な北京の『周口店遺跡』では、礫石器と剥片石器が一緒に出土していて、華北北部地域が両文化の接触地帯であったことが分かる。
旧石器時代の東アジア[2]
