秋8月、王は将軍を派遣し、遼東郡の西安平県(中国遼寧省丹東市)を襲撃して、帯方(黄海道)の県令を殺害して楽浪郡太守の妻子を奪い取った。
冬10月、右大輔の高福章が王に言った。
「遂成が謀反を起こそうとしています。その前に遂成を誅殺するべきです」
王が言った。
「我はすでに年老いた。遂成は国に功がある。だから王位を遂成に譲ろうと思う。そなたが思い悩む必要はない」
高福章が進み出て言った。
「遂成様の人に対する行いは、残忍で思いやりがありません。今日大王の禅譲を受ければ、明日には大王の子孫を殺すでしょう。大王はただ不仁の弟に恩恵を施そうとしているだけで、無辜の子孫に害が及ぼうとしているのをご存知ではありません。この件につきましてはどうか熟慮いただけますようお願い申し上げます」
冬12月、王が遂成に言った。
「我はすでに年老い、すべてのことに飽きてしもうた。天の暦もそなたが王位を継ぐ時期だと言っておる。内では国政に参画し、外では軍事を統括してくれた。国に対する功績が長年にわたってある。臣民の望みを満たすことができ、我が付託に叶うのは、そなたと言える。そなたが即位してくれれば、国は長く安寧を保つことができるじゃろう」
王は遂成に禅譲した。別宮に移って隠居し、大祖大王と称した。
【第6代】大祖大王(宮)[6-9]
