次の日の朝、パクチョンガが目を覚ますと、味噌汁の香りが漂っていました。起き上がって台所を見ると、嫁が朝ごはんの仕度をしていました。新郎が起きたことに気づいた嫁が、パクチョンガに微笑みます。
「旦那様、おはようございます。もうすぐご飯の用意ができますから、先に顔を洗ってください」
このときからパクチョンガの幸せな日々が始まりました。
いっしょに暮らしはじめて一ヵ月たったころ、嫁がパクチョンガに言いました。
「旦那様、わたしたちが夫婦になったことをそろそろ両親に報告しようと思うのですが」
パクチョンガが、自分の膝を叩きました。
「おぉ、そういえばそうだな。おまえのご両親にご挨拶しないとな。幸せのあまりいちばん大事なことを忘れていた。ところで、おまえの実家はどこにあるんだい?」
うつむいた嫁が、ためらいがちに答えました。
「わたしについて来てくださればわかります」
パクチョンガを連れて外へ出た嫁は、町のはずれを流れる大きな川に着くと、川岸で足をとめました。そして周りに人がいないことを確かめてから、川面から突き出ている草を一本抜き取って川に投げこみました。すると川が二つに割れ、白い道が現れました。
「旦那様、こちらへどうぞ」
そう言うと、嫁はその道を奥へ向かって進んでいきました。パクチョンガも嫁の後について川の中へ入っていきました。
ふたつの行李[5]
