パクチョンガが、龍王の面前で跪きました。
「はじめてお目にかかります。結婚のご挨拶が遅れ、まことに申し訳ありません。わたくしはパクと申します。龍女様を幸せにいたしますので、どうかご安心ください」
「婿殿、立って顔をよく見せておくれ」
龍王はそう言うと、パクチョンガの腕をつかんで立たせました。
「娘がこうして生きているのも、すべてそなたのおかげじゃ。ありがとう。本当にありがとう」
王はさらに話を続けました。
「そなたは大切な娘を助けてくれた恩人であり我が婿でもある。なんでも好きなものを与えるから、遠慮せずに希望の品を言ってみなさい」
部屋のあちらこちらに金銀財宝がうずたかく積まれていましたが、パクチョンガは嫁に言われたとおり、部屋の隅にある行李を指差して言いました。
「あの小さな行李をいただけないでしょうか」
龍王は少し驚いた表情をしました。
「あれは大切な家宝なんじゃ。よく気がついたのぉ。本当は誰にもやれんのだが、約束は約束じゃし、そちは娘婿でもあるから、まぁよいじゃろう」
そう言うと、王は自ら行李を取りに行き、パクチョンガに手渡しました。
「ふたつある行李のうち、ひとつは開けてもかまわぬが、もうひとつは絶対に開けてはならんぞ。わかったな」
パクチョンガは、微笑みながら答えました。
「わかりました。約束は必ず守ります」
ふたつの行李[7]
