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中国笑話集

食べたくない訳

マントウ【註1】を天秤棒に担いで売り歩いている男がいた。あるとき、いつもは威勢のよい声を張り上げている男が、蚊の泣くような小声しか出さない。不思議に思った常連客が尋ねた。「どうしたんだい。今日はやけに声が小さいね」男は病人のような声で言った...
中国笑話集

蛍の光、窓の雪

まったく勉強しないドラ息子がいた。ある日、見かねた父親が説教した。「オマエは《蛍雪の功》という故事を知っておるか? 『ホタルの光、窓の雪』というやつじゃ」「知りません。人の名前ですか、それとも食べ物の名前ですか?」「車胤という人は、家が貧乏...
中国笑話集

儒学者の三突き

儒学で名を成した偉い先生がいた。寝室で房事に及ぶとき、その先生はいつもこう言う。一突き目。「わしは色を好んでするのではない。ご先祖様を供養するためじゃ」二突き目。「わしは色を好んでするのではない。子供の数を増やすためじゃ」三突き目。「わしは...
中国笑話集

奉公人の逃げ口上

ある男が役人の家に奉公しようとした。「オイラは船の横に竿をさした(不正を働いた)ことは一度もありません。後ずさりする(消極的になる)のも大嫌いです。それに飯をあまり食べません(倹約家である)」その言葉を信じた主人は男を下男として雇った。しか...
中国笑話集

優れた処方

あるところに、研究熱心な医者がいた。まだ経験が浅いので、優れた処方を聞いては帳面に記録していた。ある日、往診の帰りに盗賊の一団に出くわしたので、茂みの中に隠れた。茂みから覗くと、大男が身ぐるみ剥がされているところだった。腰の部分に目をやると...
中国笑話集

アレの規則厳守

門番といえば、主人の慰み者というのが昔の常識だった。あるとき、都の大臣が査察官として県城へやってきた。その日の夜、下半身がムズムズしてきた大臣が館の門番を呼んだ。「氏名と役職を述べて入室いたせ!」「はっ。その前に確認させていただきたいのです...
中国笑話集

最高の担保

借金の返済をせまられた男が、石塔の頂部に逃げた。驚いた貸主が下から声をかけた。「おい、へんなマネはよせ。いいから、はやく下りてこい!」男が下に向かって叫んだ。「いやだよ。オレには下りても返すあてなんかないんだ」男が飛び降りることを心配した貸...
中国笑話集

硬い受験生

人里へ狩りに出ていた兄虎が、うなだれて帰ってきた。洞窟の入口まで迎えに出ていた弟虎が尋ねた。「兄上、どうされたのですか?」兄虎が面倒くさそうに答えた。「人を食べることができなかったから、ハラペコで全然元気が出ないんだよ」弟虎がさらに尋ねた。...
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優雅な僧侶

あるとき、役人が寺院へ行き、管長と話をした。「近頃の坊さんは肉も食べるって聞いたけど、ホントかい?」「晩酌のときに少々いただくことがあります」「なに! 酒も呑むのか?」「はい、舅といっしょに呑んでおります」「嫁がいるのか?」「はい、子煩悩な...
中国笑話集

お礼の方法

眼病をわずらっている男がいた。いろんな医者に診てもらったが、お金がかかるばかりで、いっこうに治る気配がなかった。そんなとき、友人が言った。「民間療法だが、自分の小便を塗ると治るらしいぞ」半信半疑だったが、神にもすがる思いで試してみたら、あっ...