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薬屋の前に大きな看板が出ていた。『とてもよく効くシラミとりの薬あります』興味をもった男が入店して主人に尋ねた。「いったいどんな薬なんだい？」主人が説明した。「へえ。シラミを捕まえて、この軟膏をシラミの口に塗ります。さすればシラミはたちまちの...

裁きの日。まず、原告が言った。「こいつに耳を噛み切られたんです！」つぎに被告が反論した。「こいつが自分で自分の耳を噛み切ったんです」それを聞いた代官が、自分の耳をつまんでクルクル回り出した。被告が代官に尋ねた。「お代官様、何をなさってるんで...

評判が悪くなって患者が来なくなった医者が引っ越すことになった。医者は近所にお礼をしてから出発したいと思ったが、あまりに貧乏であげるようなものが見つからなかった。そこで、自分が調合した薬を配ることにした。医者の能力をよく知っている近所の人たち...

私塾の教師が昼寝をして夢を見た。「昼寝をしたら、夢に仏様が出てきたぞ」そう言って、生徒に自慢した。次の日、登校してきた生徒が言った。「先生、私も仏様の夢を見ました」教師が言った。「本当か～？　それなら仏様はなんておっしゃったんだ？」生徒は笑...

中国語では麦も脈も《マイ》と発音する。医者が患者を死なせてしまい、石臼で十石の麦をひく罰を受けた。この医者は無能で、麦をひく罰ばかり受けていた。ある日、医者が疲れて帰ると、新しい患者が待っていた。「夜分に申し訳ありません。ちょっと脈をみてほ...

患者がひとりも来ないのを悲観したヤブ医者が自殺することにした。自分で毒薬を調合して飲んだが、死ぬどころか元気になってしまった。

ヤブなことで有名な医者が易者を殴って連行された。取調係の代官が質問した。「どうして易者を殴ったりしたんだ」医者が興奮して答えた。「あいつはウソばかりつく、とんでもないヤツなんです」「それはどういうことだ？」「あの易者に占ってもらったら、病人...

檀家の主人が僧侶に言った。「いまでも息子が硬くなるようなことはあるんですか？」僧侶が笑って言った。「そうですね。私も人の子ですから。ひと月に三回程度でしょうか」「さすが、修行している方は違いますね。わたしなんか、妙齢の女性を見るたびに硬くな...

ある日、ヤブ医者が薬の処方を間違えて、役人の息子を死なせてしまった。その償いとして自分の息子を役人の家へ養子に出した。またある日、ヤブ医者が薬の処方を間違えて、商人の娘を死なせてしまった。その償いとして自分の娘を商人の家へ嫁に出した。またま...

麺を売って生計を立てている男が四十を過ぎてから結婚した。次の年には息子を授かった。良い名前が思い浮かばなかったので、顔なじみの役人につけてもらうことにした。「はじめての子だし、なんでも一番になることを願って、金太郎なんてどうだい」しかし、長...