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中国笑話集

神仏の人数

若い役人と年老いた僧侶が安宿で同部屋になった。役人は僧侶を馬鹿にして、部屋の真ん中で大の字になって寝転んだ。狭い部屋だったので、僧侶は部屋の隅で膝を抱えて座るしかなかった。しばらくして、僧侶が役人に声をかけた。「お役人様、お役人様」役人は片...
中国笑話集

首を動かす意味

ふたりの老人が世間話をしていた。「おたくのご子息が郷試(【註1】)を受けられたと聞きましたが」「そうなんですよ」「それで受かったんですか?」「それはもう。八方手を尽しましたから」「おめでとうございます。これで一生安泰ですな」「担当の試験官が...
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危い三宝

居酒屋で大工の棟梁が弟子たちに尋ねた。「おめえたち、三宝って知ってるか?」一番弟子が言った。「ひとつは、でかくて固い男のアレでやすね」棟梁が手を打った。「当たりだ。小判一枚!」二番弟子が言った。「もうひとつは、狭くて締まった女のアソコでやす...
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象のような豚

都で小役人をしている男がいた。ある日、ベトナムから献上された象が街中を練り歩いているのを見てつぶやいた。「豚があれくらい大きいといいんだがなぁ」それを聞いて、いっしょに見物に来ていた友人が尋ねた。「なんでそんなふうに思うんだい?」男は象を見...
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クマネズミとスズメバチ

科挙の殿試に合格したばかりの男がいた。あるとき、ふたりの下級役人が挨拶にやってきて、義兄弟の杯を交わしたいと申し出た。男は二つ返事で了承した。ある宴席で、男がふたりの下座につくのを見た友人が言った。「どうしてアイツらより下の席に座るんだ? ...
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必殺の手

街の大通りで武者と医者がぶつかった。ぶつかったのが医者だとわかった武者は地面にひれ伏して言った。「お願いですから、手で殴ることだけはおやめください。足で蹴っていただいてかまいませんから」医者が一蹴りして立ち去ると、それを見ていた武者の同僚が...
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女郎と客の夢

行商に出ていた男がひさしぶりに遊郭へ行き、なじみの芸子を呼んだ。芸子が男の胸にしなだれかかって言った。「ずっとさみしかったんですよ。あなたと別れてから毎日あなたの夢を見ていました」「そうか、そうか。オレも毎晩おまえの夢を見ていたよ」「どんな...
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ネズミの生まれ

ネズミ年に生まれた官僚の誕生会があった。部下の役人たちはなけなしの金を出し合って、純金で作られたネズミの置き物を贈った。上役のキャリアにへそを曲げられると、仕事と収入が途絶えて生活していけないからだ。宴がたけなわになったころ、官僚が自分の妻...
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読めなくてもいい手紙

あるところに商売が成功して金持ちになった男が住んでいた。しかし、男は貧農の出で字の読み書きができなかった。ある日、金を貸した家から召使いがやって来た。召使いは返済期日の延長を依頼する主人の手紙を持っていた。男は手紙を逆さまに持って読んだふり...
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父の功徳

たいして頭が良いわけでもないのに科挙の殿試に合格した若者がいた。初登庁した日の夜、夢の中に閻魔大王が現れて言った。「これから真面目に勤め上げるのだぞ」若者がつねづね疑問に思っていたことを尋ねた。「閻魔様、わたくしなんかがどうして最高級の試験...