中国笑話集

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癖が出る

封建時代の中国には出張専門の料理人がいて、宴会や法事の会場で料理を作る仕事をしていた。あるところに、出張料理人をしている男がいた。自宅で台所に立っているとき、男が豚肉の端を切り取って懐に入れた。それを見て妻が言った。「あなた、何をしてるんで...
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スズメ捕り

ある男が愛娘の婿を探していた。あるとき、親戚がやってきて言った。「近所にスズメ捕りを生業にしている家があるんだが、そこの息子はどうだい?」男は喜んだ。「スズメ捕りなら現金収入だ。オレみたいに売掛金の回収で苦労することもないから、婿にはピッタ...
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禅問答の結末

ある日、大工をしている男が禅寺へ参拝に行った。出てきた僧侶は、大工のみすぼらしい身なりを見て、無視するような態度をとった。そこへ役人がやってきた。役人を見た僧侶は、ペコペコ頭を下げ、小僧にお茶の用意をさせた。怒った男が抗議すると、僧侶が念仏...
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食べたくない訳

マントウ【註1】を天秤棒に担いで売り歩いている男がいた。あるとき、いつもは威勢のよい声を張り上げている男が、蚊の泣くような小声しか出さない。不思議に思った常連客が尋ねた。「どうしたんだい。今日はやけに声が小さいね」男は病人のような声で言った...
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蛍の光、窓の雪

まったく勉強しないドラ息子がいた。ある日、見かねた父親が説教した。「オマエは《蛍雪の功》という故事を知っておるか? 『ホタルの光、窓の雪』というやつじゃ」「知りません。人の名前ですか、それとも食べ物の名前ですか?」「車胤という人は、家が貧乏...
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儒学者の三突き

儒学で名を成した偉い先生がいた。寝室で房事に及ぶとき、その先生はいつもこう言う。一突き目。「わしは色を好んでするのではない。ご先祖様を供養するためじゃ」二突き目。「わしは色を好んでするのではない。子供の数を増やすためじゃ」三突き目。「わしは...
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奉公人の逃げ口上

ある男が役人の家に奉公しようとした。「オイラは船の横に竿をさした(不正を働いた)ことは一度もありません。後ずさりする(消極的になる)のも大嫌いです。それに飯をあまり食べません(倹約家である)」その言葉を信じた主人は男を下男として雇った。しか...
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優れた処方

あるところに、研究熱心な医者がいた。まだ経験が浅いので、優れた処方を聞いては帳面に記録していた。ある日、往診の帰りに盗賊の一団に出くわしたので、茂みの中に隠れた。茂みから覗くと、大男が身ぐるみ剥がされているところだった。腰の部分に目をやると...
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アレの規則厳守

門番といえば、主人の慰み者というのが昔の常識だった。あるとき、都の大臣が査察官として県城へやってきた。その日の夜、下半身がムズムズしてきた大臣が館の門番を呼んだ。「氏名と役職を述べて入室いたせ!」「はっ。その前に確認させていただきたいのです...
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最高の担保

借金の返済をせまられた男が、石塔の頂部に逃げた。驚いた貸主が下から声をかけた。「おい、へんなマネはよせ。いいから、はやく下りてこい!」男が下に向かって叫んだ。「いやだよ。オレには下りても返すあてなんかないんだ」男が飛び降りることを心配した貸...