神話と民話

神話と民話

熊から人になった先祖

むかしむかしのこと。天上界に天神ファンイン(桓因)が住んでいた。 息子のファンウン(桓雄)はいつも人間界のことを気にかけ、父の許しさえ出れば下って人間たちを幸せにしてあげたいと思っていた。 息子の気持ちを察したファンインが見下ろしてみると、...
神話と民話

穴から出てきた先祖

むかしむかし、耽羅(済州島)には人が住んでいなかった。 あるとき、漢拏山の北麓にある毛興穴地中から三人の神が現れた。長男を良乙那、次男を高乙那、三男を夫乙那といった。このうち、高乙那が高氏の始祖である。三人は漢拏山で狩りをし、獣の皮で服をつ...
神話と民話

金の箱から出てきた先祖

新羅国第四代脱解王の時代、瓢公が月城の西里を歩いていると、鶏林(雉林、鳩林ともいう)の中から光が漏れているのが見えた。林に行ってみると、天から紫色の雲が垂れ下がり、一本の木の枝に小さな金色の箱が引っかかっていた。光は箱から出ており、その下で...
神話と民話

延烏郎と細烏女

新羅国第八代阿達羅王の時代、延烏郎と細烏女という夫婦が、日本海の海辺で暮らしていた。 ある日、延烏郎が海の中で藻を採っていると岩石が現れ、彼を乗せて日本へ行った。日本の豪族たちは「この方は只者ではない」と言いあい、延烏郎を日本の国王に推挙し...
神話と民話

首露王と六つの卵[下]

後漢の建武二十四年(西暦48年)七月二十七日、九干たちは王に奏上して言った。「大王はまだ王妃を娶っておられません。我々家臣たちの娘の中からご自由にお選びください」「朕がここに来たのは天命によるものだ。王妃も天命によって自然に定まるだろう」 ...
神話と民話

首露王と六つの卵[上]

国の名前も君臣の呼称もなかった昔のこと。 我刀干、汝刀干、彼刀干、五刀干、留刀干、神天干、五天干、神鬼干という九人の首長がおり、九干と呼ばれていた。そこには百戸、七万五千人ほどの民がおり、山野に家を建て、井戸の水を飲み、田畑を耕して暮らして...
神話と民話

王になった犬[下]

房王の首をくわえているバンコを見た高辛王の驚きと喜びは、尋常なものではありませんでした。「バンコ、でかした。さすが朕の愛犬だ」 高辛王は褒美として最上のなますを与えました。しかし、バンコは見向きもしません。王がいくら呼んでも、立ち上がろうと...
神話と民話

王になった犬[上]

むかしむかし、中国に高辛氏という部族がありました。その祖は嚳高辛{こくこうしん}といい、五帝の一人として古代中国に君臨したといいます。 また、黄帝の曾孫として顓頊{センギョク}の後継者となり、陳鋒氏の娘と結婚して堯が生まれたともいいます。 ...
神話と民話

織女と牽牛[下]

天帝は困りきった表情をしました。「そうは言っても皆がおまえの布を待っておるんだ。このままでは天上人が着る衣装が尽きてしまう。お願いだから織っておくれ。このとおりだ」 天帝は娘にはじめて頭を下げましたが、娘を翻意させることはできませんでした。...
神話と民話

織女と牽牛[上]

天の川の東に美しい娘が暮らしていました。天帝の娘で機を織ることをなりわいとし、来る日も来る日もカッタンコットンと絹糸を織る日々を送っていました。 彼女が織る布は天界でも随一のもので、その評判を聞きつけて注文する者が後を絶ちませんでした。人々...