中国笑話集

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貧困家屋の戸口

ある晩、泥棒が盗みに入ったが、あまりに貧乏で盗む物がなかった。腹を立てた泥棒は床に唾を吐き、戸を開けたまま帰ろうとした。それを寝たまま眺めていた家主が言った。「おい、ぬすっと。ちゃんと戸は閉めてってくれ!」泥棒が振り返って言った。「ハッハッ...
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前後の感想

数十年ぶりに都へ出てきた僧侶が、接待係の役人に誘われるまま遊郭へ入った。女郎が「どうぞ」と言って裾をまくった。和尚は役人の言うとおり女郎の前後を触った。役人が感想を尋ねると、和尚は感心したように言った。「摩訶不思議、摩訶不思議。前は尼さんの...
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故郷の桜

出稼ぎ仕事で生きている男がいた。雪が解ける初春に故郷を出て年末に帰郷するという生活を送っていた。ある年、男は貴族のお屋敷で下働きをした。暇をもらって帰郷する日、男は主人にお願いをした。「こちらの庭で見た満開の桜がどうしても忘れられません。実...
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神仏の人数

若い役人と年老いた僧侶が安宿で同部屋になった。役人は僧侶を馬鹿にして、部屋の真ん中で大の字になって寝転んだ。狭い部屋だったので、僧侶は部屋の隅で膝を抱えて座るしかなかった。しばらくして、僧侶が役人に声をかけた。「お役人様、お役人様」役人は片...
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首を動かす意味

ふたりの老人が世間話をしていた。「おたくのご子息が郷試(【註1】)を受けられたと聞きましたが」「そうなんですよ」「それで受かったんですか?」「それはもう。八方手を尽しましたから」「おめでとうございます。これで一生安泰ですな」「担当の試験官が...
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危い三宝

居酒屋で大工の棟梁が弟子たちに尋ねた。「おめえたち、三宝って知ってるか?」一番弟子が言った。「ひとつは、でかくて固い男のアレでやすね」棟梁が手を打った。「当たりだ。小判一枚!」二番弟子が言った。「もうひとつは、狭くて締まった女のアソコでやす...
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象のような豚

都で小役人をしている男がいた。ある日、ベトナムから献上された象が街中を練り歩いているのを見てつぶやいた。「豚があれくらい大きいといいんだがなぁ」それを聞いて、いっしょに見物に来ていた友人が尋ねた。「なんでそんなふうに思うんだい?」男は象を見...
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クマネズミとスズメバチ

科挙の殿試に合格したばかりの男がいた。あるとき、ふたりの下級役人が挨拶にやってきて、義兄弟の杯を交わしたいと申し出た。男は二つ返事で了承した。ある宴席で、男がふたりの下座につくのを見た友人が言った。「どうしてアイツらより下の席に座るんだ? ...
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必殺の手

街の大通りで武者と医者がぶつかった。ぶつかったのが医者だとわかった武者は地面にひれ伏して言った。「お願いですから、手で殴ることだけはおやめください。足で蹴っていただいてかまいませんから」医者が一蹴りして立ち去ると、それを見ていた武者の同僚が...
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女郎と客の夢

行商に出ていた男がひさしぶりに遊郭へ行き、なじみの芸子を呼んだ。芸子が男の胸にしなだれかかって言った。「ずっとさみしかったんですよ。あなたと別れてから毎日あなたの夢を見ていました」「そうか、そうか。オレも毎晩おまえの夢を見ていたよ」「どんな...